あすなろ闘病ブログ

大腸がんの闘病生活を書き綴るブログ

69.術後の不思議

 

 

最初は気のせいかなと思ったんだけど、でも数回手術を受けてやっぱり思った。

 

術後って毛深くなる。

手術から数日経つと体毛フサフサになる

 

麻酔から目覚めたら毛穴が覚醒したのかしらってくらいに。

 

頭髪、眉毛、まつげ以外はそのまま眠っててほしいのに、ムダ毛達がムダに元気でわんぱく。もー。

特に腹毛。

肝臓を手術した時に、気持ち右腹の肝臓ゾーンが濃いことに気付いた。毛ってこんな器用な生え方できるんだ。

 

体毛って体を守るためにあるらしいんだけどさ、

あなた達そんな中途半端な毛量で私の腹を、肝臓を守れんのかって。

毛抜きや剃刀に勝ち目無いのに、そんな頑張ってもあんま意味ないよって。

 

まーでも、私の腹を守ってるつもりであろうムダ毛達を見てると健気に思えてきた。

そっかー、守ってくれてるのか。

健気な毛。けな毛。

 

 

そんなけな毛たちの目覚めと、もう一つの不思議がある。

退院して体力が戻ってくると無性に自然が恋しくなり、山や海に行きたくなる。

 

潮の香りを嗅ぎたい、波の音を聞きたい

草いきれに包まれたい、葉が揺れる音を聞きたい

とにかく自然の力を感じたい。

 

昔、伯父が60歳を超えた時に大腸がんの手術をした。

一段落ついた時に

「富士山に登る」

とかいきなり言いだして、登山初心者なのに一人で見事に登頂した。

(ちゃんと体力作りはしていたようだ)

伯父も自然を求めたのだろうか。

周りを驚愕させたけど私は今その気持ちがすごい分かる。

 

 

けな毛をまとった私が自然を求めて森へ行く。

森の奥へ、奥へ、歩いて行く。

そしたらUMAと間違われて東スポに載る日がくるかも。

 

なんて冗談はさておいて

術後の回復時は不思議な力が湧くのかな、と思った。

一緒に潜在能力も目覚めて、急に多言語が話せたり急にピアノが弾けるようにならないかな、と思ってたけど、脳は全く覚醒しなかった。

 

けな毛は数カ月で通常のムダ毛に戻った。