あすなろ闘病ブログ

大腸がんの闘病生活を書き綴るブログ

29.肝転移の入院④【手術】

 

 

早く起きた

手術に呼ばれるまでまだ時間があるので、とりあえず読書をして過ごすけど、憂鬱で全然内容が入らない。

 

 

今回の手術はとても精神的に辛い

まだ肝転移や治療に対して向き合えていない

まだ受け入れられないまま、また手術台に乗る。

そもそも受け入れられる日なんて来るのだろうか。

 

それに、一度受けた手術経験が嫌悪を増長させている。

 

手術をして貰えるのにこんな気持ちで挑むのは申し訳ないと思う。

 でもどうしようもない。

 

少し読んでは時計を見て、ため息をつく

 

 

何をしても時間の流れに抗えず、準備をして手術室へ歩いて向かう。

気持ちゆっくり、少しでも手術室までの時間を稼ごう、なんてムダな抵抗をしたけど、難なく手術室のフロアに着いてしまった。

 

付き添いは手術室のもう一つ手前の扉まで。

家族に手を振り見送られながら、私だけ奥へ進む。

進みながら何度も振り返り手を振る

ゆっくり扉が閉まり、家族との距離が離れていく。

遂に姿が見えなくなってしまった。

 

世界が分断されるようで、この扉が嫌いだ。

数時間後にはまた会えるんだ、大丈夫、大丈夫、と涙が出そうなのをこらえる。

 


思いもよらぬ人生二度目の手術

 

「間違いでした」「がんは消えていました」

と言って欲しい

手術台に上がってもまだその言葉を待っていた。

 


そんな願いも虚しくあっという間に準備が整い、その後の記憶がない。

 

 

 

目が覚めるとICUに運ばれていた。

寝起きの様なまどろむ感じで、痛みは無かった。

だけど、傍から見ればICUに入って、管がたくさん繋がって、その姿が痛々しく見えるそうだ。

 

心電図、血圧、指先で酸素測るやつ、鼻カニューレで、外付けの配線が多くごちゃごちゃしてる。

体と繋がっているものは、点滴、尿ドレーン、お腹の血液排出用のドレーン2本。

 

「管がいっぱいだね・・・」

 

って親がしんみりしてたけど、

ナースコールとかベッドのリモコンのコードとか、関係無いコードもカウントしちゃってる。

 


時間を聞くとまだ夕方。これから長い夜を越えなければならない。

まどろみ、寝てはすぐ目覚めて、麻酔の影響で気持ち悪くて吐く、を繰り返す。

夜明け早くきて。

 


ブラインドの隙間から薄明りが入り込み、病室の色が変わってきた。

待ち望んだ朝が来た。

やっと前に進める。