早く起きた
手術に呼ばれるまでまだ時間があるので、とりあえず読書をして過ごすけど、憂鬱で全然内容が入らない。
今回の手術はとても精神的に辛い
まだ肝転移や治療に対して向き合えていない
まだ受け入れられないまま、また手術台に乗る。
そもそも受け入れられる日なんて来るのだろうか。
それに、一度受けた手術経験が嫌悪を増長させている。
手術をして貰えるのにこんな気持ちで挑むのは申し訳ないと思う。
でもどうしようもない。
少し読んでは時計を見て、ため息をつく
何をしても時間の流れに抗えず、準備をして手術室へ歩いて向かう。
気持ちゆっくり、少しでも手術室までの時間を稼ごう、なんてムダな抵抗をしたけど、難なく手術室のフロアに着いてしまった。
付き添いは手術室のもう一つ手前の扉まで。
家族に手を振り見送られながら、私だけ奥へ進む。
進みながら何度も振り返り手を振る
ゆっくり扉が閉まり、家族との距離が離れていく。
遂に姿が見えなくなってしまった。
世界が分断されるようで、この扉が嫌いだ。
数時間後にはまた会えるんだ、大丈夫、大丈夫、と涙が出そうなのをこらえる。
思いもよらぬ人生二度目の手術
「間違いでした」「がんは消えていました」
と言って欲しい
手術台に上がってもまだその言葉を待っていた。
そんな願いも虚しくあっという間に準備が整い、その後の記憶がない。
目が覚めるとICUに運ばれていた。
寝起きの様なまどろむ感じで、痛みは無かった。
だけど、傍から見ればICUに入って、管がたくさん繋がって、その姿が痛々しく見えるそうだ。
心電図、血圧、指先で酸素測るやつ、鼻カニューレで、外付けの配線が多くごちゃごちゃしてる。
体と繋がっているものは、点滴、尿ドレーン、お腹の血液排出用のドレーン2本。
「管がいっぱいだね・・・」
って親がしんみりしてたけど、
ナースコールとかベッドのリモコンのコードとか、関係無いコードもカウントしちゃってる。
時間を聞くとまだ夕方。これから長い夜を越えなければならない。
まどろみ、寝てはすぐ目覚めて、麻酔の影響で気持ち悪くて吐く、を繰り返す。
夜明け早くきて。
ブラインドの隙間から薄明りが入り込み、病室の色が変わってきた。
待ち望んだ朝が来た。
やっと前に進める。