手術当日の朝。
相変わらず左肺が痛むけど、息苦しさは無い。
けど、朝イチで撮ったレントゲン検査の結果、昨日より肺がしぼんでいるのだそう。
というわけで手術前に胸脇からドレーンを入れて空気を抜くことになった。
後は手術を乗り越えるだけ、の前にもう一踏ん張りしなければならない。
処置室に行くのかと思ったら今ここで、自分のベッドの上でやるって。
つい今しがたまでくつろいでたベッドで。
さ、やろっか。て感じで。
そんなに軽い感じでこの場所で。
私の体内と外界への通路が出来ちゃうわけですか。
処置は担当の先生ではなく、若い先生が処置をするって。
カーテンに半分隠れていた先生がサッて前に出てきた。
えーーと、正直怖い
いえ。
いえいえ、いいんです、いいんです。ええ。いいんですとも。
立派なお医者様になるためには経験が必要ですものそのために私の肺でお役に立てるのならばどうぞ肺の一つや二つ、、、
と強引に考えることにした。
(若い先生、一緒に頑張りましょうね)
頑張るのは若い先生なのだが、心の中で一方的に、勝手に私だけ結束感を持ちながら横になる。
横向きに寝て胸脇に麻酔を打つ。
麻酔の注射はチクッ程度でそんなに痛みは無かった。
その後、胸脇から器具が入ったのだろう
カチャカチャと器具がぶつかる振動が体に響いたり、軽くひっぱられるような感覚があった。
麻酔のおかげで痛みは無いけど不気味だ。
傍らで厳しめに指示を出す先生。
たぶん若い先生は緊張していたと思う。
もちろん私も一緒に緊張している。
病室にもピリピリした緊張感が満ち溢れている。
ベッド上の処置でこのプレッシャー
手術ってもっともっと強いプレッシャーなんだろうな。
厳しいご指導の下、無事空気が抜けた
病室の張りつめた空気も抜けた
風が吹いたら飛んでいきそうなくらい精神的にヘロヘロ。
手術前なのに疲れた。
後からお隣さんが大丈夫だった?って気にかけてくれて
人情が心に染みる。
今度こそ、後は手術を乗り越えるだけ!