退院日の朝
私の細胞、聞いてください
私はもうここには戻りたくありません
細胞分裂する際はちゃんと今後を考えてください
これで細胞が言う事聞くなら世の中苦労しないし悲しむ人は減るのに。
回診時に先生と看護師さんに感謝の気持ちをたくさん伝えたいけれど、私は口下手で語彙力も無いため想いの半分以下も伝えられないのが悔しい。
カーテン越しに同室の人達の朝食を食べる音が聞こえる
病棟は色々な匂いがするな、と思いながら荷物をまとめ請求書を待つ
今回も入院時に限度額適用認定証を提出したので、限度額+差額ベッド代+食費だからおおよその入院費用が把握できるので助かる。
そしてやってきた
請求書を見る
《 大腸がん肝転移再々手術の入院費用 》
肝転移3回目、数センチ開腹+腹腔鏡手術
入院期間9日間
総額約15万円
(食費と差額ベッド代含む)
限度額認定証を利用していなければ50万円越えの請求だった。
一時出費とはいえ50万円は大きい。
5年ぶりの手術入院の中、思い出していた。
注射の恐怖
術後の辛さ
夜通しで看護してもらえる有難さ
感謝の気持ち
入院の非日常生活から退院して日常に戻って過ごしていくうちに薄れてきた感情。
平和ボケしていたところに再々発が発覚した。
「必死だったあの頃を忘れないように」
「なにげなく過ごす日常の有難さを忘れないように」
寛解して気が緩んだ私に、細胞からお灸を据えられたような気がした。