入院中はよく音楽を聴いていた。
気分を上げたり、癒されたり
ラジオから流れる、普段聴くことのないジャンルの曲に興味持ったり
辛い入院の中でパワーをもらった。
音楽の力は偉大だ。
そんな闘病中に知った、ブライアン・イーノという方。
アンビエントミュージック(環境音楽)というジャンルを築いた音楽家で、アンビエントミュージックとして発表した初アルバムが、
「空港のための音楽」
このアルバムのコンセプトは
- 構内アナウンスによる中断に対応可能なこと
- 人々の会話の周波数から外れている、会話の速度と異なること
- 空港の生み出すノイズと共存可能なこと
- 空港という場所と目的に関係して死に備えられるような音楽であること
すごく計算されたアルバムだなぁ。
イントロやサビが無いので、ノリノリのとこでアナウンスが入り曲が中断される、なんてことが無い。
重要なアナウンスを聞き逃さないように、会話の邪魔をしないように主張しない。
事故や事件が起きた時にも対応できる音楽。最悪の出来事をも想定した曲。
もし悲しい事があった時に
I'm happy♩☆I love you♪☆この幸せをあなたに届けたい♪
なんて甘い曲が流れたらちょっとキツイし、その曲を聴くとその悲しい出来事を思い出してしまう。
音楽と記憶が結びついてしまい、もしかしたらその楽曲やアーティストが嫌になってしまうかもしれない。
音楽に罪は無いのに、だ!
という事からアンビエントミュージックは合理的であり、聞き手側にも利便性が高い音楽。
ここで思う
曲のコンセプトが病院と似てるではないか。
「病院のための音楽」があったらぜひ聴いてみたい。
クリニックでよくオルゴール調のBGMが流れているけれど、リラックスしてください感を醸し出すようないかにもな音楽でなくて。
外来の待合室で流れる緊張を和らげる音。
アナウンスや会話を邪魔せず、空間に溶け込む音。
喜びや悲しみを邪魔しない音。
そんな外来の待合室があったらいいな。
ブライアン・イーノさん、チャレンジャーだと思う。
クリエイターからすれば自分の作品って、世間に注目されてナンボのもの。
頑張って曲作ったよ!聴いて聴いて!ってなる。
それが
「じっくり聴くこともできるが、無視することもできる音楽」
とか
作品を無視して良いって、なんて前衛的なの。
ブライアン・イーノが交通事故で身動きできない状況から生まれたこのジャンル。
怪我をして身動きできない中から生まれたそうで、ほんとに怪我しての功名ってた。
環境や心境の変化から発見することもある。
私の入院も、もしかして何かの功名になるかもしれない。
音楽を聴きながら考えた。
今のところ、ない。